動かないスタッフを動かそうとするのではなくできない理由を具体的に聞くことで解決できる

相談

動かないスタッフを動かそうとするのではなくできない理由を具体的に聞くことで解決できる

2021-07-19

ミーティングで決めたことなのに、スタッフがいつまで経っても
それが行動に移さない事実を目にしたとき、社長が
「自分で考えようとしない、やる気のないスタッフだ」
と判断してしまうことがあります。

しかし、よく話を聞くと、そういうケースの大半は、
単にそのスタッフは「筋道を立てて対策を見いだす考え方が
わからないだけで、やる気がないわけではない」ように思います。

先日セミナー会場で、ある流行っている会社の社長から、
こんな相談を受けました。

「アポを1日50件以上入れるようにスタッフに指示したのですが、
いつも3~4件足りないんです。
社長命令なのに、1か月たっても全然変わらないので、
彼にはもっと厳しく言ってやらないといけないと思うのですが、
何かペナルティとか与えたほうが良いのでしょうか?」

そのような場合、ペナルティを与える前にやっておくべきことがあります。

それは、「できない理由を具体的に聞く」です。

たとえば、アポをきっちり埋めない理由として、
ある会社のスタッフが次のような事情を話してくれたことがありました。

「たとえば前回ずいぶん待たせて嫌な思いをさせてしまった
お客さんには、次は待たせずに打ち合わせをしたいので、
わたしなりに考えてその直前の枠を空けて、
先の日程にアポを入れたりするんです」

お客さんから何度も

「あとどのくらい待ちますか?」

と聞かれたり、

「これ以上待てないから、今日はもう帰る」

と面と向かって言われるのは、営業で彼です。

そんなとき、申し訳なさと会社の方針のはざまに
立たされているとのこと。

これは、現場で働く彼の立場に立って考えたら、
その心情は理解できるところです。

社長がそんな心情を知らずに、アポを埋めることを強要すると、
上記のような本音をうまく自分で伝えられないスタッフは、
どう感じるでしょうか。

「社長は、収益ばかり優先して、何もわかってくれない。
言ってもわかってくれないから、適当に流しておこう」

と判断し、信頼関係が崩れてしまいかねません。

もしその部分は認めて、他にできる対策を一緒に探して
あげたとしたら、スタッフの腑に落ち方は違ってきます。

その人の行動には共感できないときも、
その人がおかれている状況や背景には
共感できることがあります。

できない理由探しを手伝うと、解決は早いかも知れませんね。

「現状認識を社員と共有するトーク」を成功させる方法

2021-05-17

このキャッシュフロートークが社員の共感と理解を得て、
行動を促すためには、思いつきでテキトーにしゃべってはいけません。

トークを予め設計することが肝心。

そしてその際に押さえておきたい3大ポイントがあります。
それを簡潔にお伝えしておきましょう。

① 安心感と緊張感の両立
このキャッシュフロートークの目的は、
社員に同じ危機感を持ってもらい、行動してもらう ことです。

そのためには、適度な緊張感を与える必要があります。

と同時に、「倒産寸前なのでは!?」などの誤解がないよう、
安心感も必要。その両立を意識してトークを設計します。

② 会社と社員の幸せの一致点の追求
会社の幸せと社員の幸せがあるとします。

その社員が今この会社に所属しているのは、
程度の大小こそあれ、そこにお互いの幸せの一致点があるからです。

それは「生活費を稼げるから」というレベルから
「人生のミッションを果たす場が与えられるから」
というレベルまで様々ですが。

そして、人が一番興味があるのは、自分の幸せです。

自分がある程度、満たされてこそ、周りの幸せにも気が向く。
そんな人が大多数ではないでしょうか。

ならば、
会社と社員の幸せの一致点はどこにあるのか、
そしてどうすればその面積は広がるのか、
に意識を向けてトークを設計します。

③ ビジョンや理念との整合性
人は、「今やっていることの中に意味を見出したい」生き物です。

その意味は、「生活費を稼ぐため」という
日常レベルのことだけでなく、

「大いなることのために事を成す」

ようなスケールの大きなこともあっていいでしょう。

それは会社で言えば、ビジョンや理念の実現です。

それとどう関連があるのか、をきちんと結びつけることで、
提示された目標や指示を完遂しようという動機が強まります。

さて、トークの設計ができたところで、
これをすべて社長が一人でしゃべるのは、
よほど弁の立つ人でない限り難しいかもしれません。

そこで、現実的で簡単、かつ
もっとも効果的な方法を紹介しましょう。

それは、Step1からStep6までは顧問税理士など
第三者にしゃべってもらい、最後の締めくくりのStep7だけを
社長が熱く語る、という二人三脚作戦です。

この役割分担が一番スムーズです。

もっとも、このように社長と社員の間に立って、
経営数字を使ってコミュニケーションのズレを解消できる税理士は、
今はまだそれほど多くはないかもしれません。

ただ、もし幸いなことに、みなさんの顧問税理士が
そんな協力をしてくれる方なら、この記事を見せて
「こんな話をしてもらえませんか」と、
相談してみてはいかがでしょうか。

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